デイリーフレネ

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2007年05月13日

vol/1337

============= ◆   日刊通信   ◆ =============
============= ◆ デイリー・フレネ ◆ =============
-------------------- VOL/1337--------- 2007/05/14
//////// CONTENTS //////////////////////////////
1.夏のワークショップ決定!―フィンランドメソッド第2弾!
2.熊谷ではレポート解説
3.四国Tさんからのお便りです―JFの授業について
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★今日はなんの日
1878 大久保利通が不平士族に暗殺される

★今日の花言葉
おだまき「勝利の誓い」

★今日は誰の誕生日
斉藤茂吉(歌人1882)
ジョージ・ルーカス(映画監督 米 1944)

★今日の名言
「無知を治そうと思うなら、無知を告白しなければ
ならない」
       ―モンテーニュ「エセー」より―

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■1.夏のワークショップ決定!―フィンランドメソッド第2弾!■

http://www.jfreinet.com/report/index2007.htm

今春行われ大好評だったフィンランドメソッドのワ
ークショップ。この夏もフィンランドメソッドのワ
ークショップ!フ

ィンランドメソッド研究の第一人者北川達夫さんが
春に引き続き、快く講師を引き受けてくれました。

● 今回の目玉
PISAの問題作成委員も引き受けている北川さん。
今回は教科書に載っている文章からPISA型問題
を作る(作問)ワークショップ!

市販テストに左右されない本当の学力を獲得するに
は、やはりPISA型作問ができるかどうかが問わ
れてきます。

画期的なワークショップです。

● 日時
7月28日(土)午後1時30分~29日(日)正午

● 会場
山梨県甲州市勝沼町 宿坊「大善寺」

● 費用・募集人員
1泊3食飲み放題・参加費・イベント費込みで1万5千円
前後 先着30名

● 28日夜のライブ
故高田渡とともに「武蔵野たんぽぽ団」を結成した
最高のブルースシンガー・シバ、「吉祥寺」や「君
の瞳は1万ボルト」で一世風靡した斉藤哲夫のライブ!
ファン、必見!

● 先行予約
ジャパンフレネのHPをご覧の皆様、および、メル
マガ購読者の皆様でワークショップ参加希望の方は、
一般募集(6月1日)以前に先行予約が可能です。

メール、またはお電話でご連絡下さい。


■2.熊谷ではレポート解説■
   ↓
http://www.jfreinet.com/report/index2007.htm

今日は昨日みんなから集めた『大日本帝国憲法と日
本国憲法』のお話。
とっても良く書けてた!初めてなのにすごい!

違いに関しては昨日のお話で確認。
今日は、さらに法律のお話を少し。法律って何のた
めにあるんだろう?
「社会のルールだから」
「その国で過ごすための決まり」
「犯罪の取り締まりに。」
などなど。

「人としてしちゃいけないことで思い浮かぶのは?」
「殺人でしょ。」と、かい。
「だけど、自分が誰かに危害を与えてしまう可能性
っていうのがこの先絶対無いって言えるかな?」
もしも、自分の大切な人が誰かに何かあった時…。
想像は難しくないかも。

「本当は法律を武器にして立ち向かうべき。」と確
認。だけど、法律は社会で暮らしていくための最大
公約数であって、それで裁ききれないこともたくさ
んあるのかも。腑に落ちない判決をニュースで聞く
こともよくあるね。『人として生きる上で』という
視点のお話も紹介でした。

●次回レポートは…

次のレポートのお題は…。
「理科系がいい!」とみんなのいろんな希望を挙げ
てもらう。

お題は自由に選んでいいということだけれど、みん
なで話していくと、最終的に『同じ高さからアリと
鉄球を動じ落としたらどうなるか』というお題に。

「えーっと、重力の実験では…。」
「ピサの斜塔でしょ!」
「だけど、空気抵抗があって…。」
みんな知っていることを思い出しながら。

今度のレポートでは、予想にその根拠となること
(『重力』『空気抵抗』という言葉がキーワード)
を調べて書いてみよう!


■3.四国Tさんからのお便りです―JFの授業について■
   ↓
http://www.jfreinet.com/report/index2007.htm

代表木幡が行った「正義は勝つ?」(日米それぞれ
の視点の硫黄島)、「ファンファーレ・チョコリー
ア」(ジプシーブラス)の授業に関し、四国のTさ
んからお便りをいただきました。

ありがとうございます。

------------以下、転載。

映画『硫黄島からの手紙』 わたしも見ました。ア
メリカもこんな映画を撮るようになって、それがア
カデミー賞の候補になる、そういう時代になったん
だと、感慨深いものが。 

作品賞を取った『バベル』は最近みましたが、「傑
作になり損ねた」という朝日新聞の沢木耕太郎の批
評とぴたり、同感です。 

最近見たのでは、『ダーウィンの悪夢』というドキ
ュメントものが、ほんとうに優れていました。映画
の中で、ストリートチルドレンも売春婦も、警備員
のおじさんも、勉強がしたい、と言っています。彼
らの勉強は、飢え死にしないための、売春をしない
で済むための勉強です。

うちの高校生の次男が、それを見に行った前の日に、
同じ高校の3年生が、自殺したこともあってこの映
画を見てから、死ぬかどうか考えるべきだった、と
言っていました。

世間がどうなっているのかを、知るために、映画はと
っても好い教材だと思います。

さて、ジプシー・ブラスについてですが、百姓仕事
で手が荒れるので、バイオリンをやらない、という
のは、眉唾ものです。ジプシーの言うことを、真に
受けてはいけません。
 
それは、比較的近所のジプシーバンド、「タラフ・
ドゥ・ハイドゥークス」などは、バイオリンを主体
にした編成ですし、ハンガリーの人でしょうか、ロ
ビー・ラカトシュのような名人もいれば、フランス
のジプシーのジャズでもバイオリンは欠かせません。

ジプシーは、それぞれの土地で、そこの需要に応じ
た音楽をやっているので、ジプシーブラスは、野外
の結婚式や誕生会など大勢のパーティーで、スピー
カー無しでもやかましく盛り上げようというための
音楽なんでしょう。
 
ジプシーは、千年位前に北インドから出て、ゲルマ
ン民族の移動の最後尾で、ヨーロッパに入ってきた
放浪生活の民族、と思っていました。しかし『ジプ
シー』 水谷驍 平凡社新書 によれば、「ジプシ
ーとは、ジプシーと呼ばれる人々のことである」。

日本人のようにほぼ共通の文化、言語、DNAをも
った民族を考えてはいけない。アメリカ人は、人種・
文化・言語を異にした、アメリカ国籍をもつ人の集
団ですが、ジプシーはそこから、国籍を除いたもの。

では何が共通項なのか。厳密にいえば「人からジプ
シーと呼ばれていること」だけかもしれません。ジ
プシーの中には、北インドから来た集団も、大きな
グループではありますが、18世紀に都市化が進む
中で周辺から流れ込んでくる農民や手工業者を出身
とする下層民ということになります。

先の大戦中に、ジプシーもユダヤ人と同じく、ヒト
ラーによって抹殺されようとしました。ユダヤ人は、
勤勉で清潔好き、お勉強大好きで、複利計算もでき
る。これはドイツ人の近親憎悪をかったようにみえ
ますが、ジプシーはすべてがその反対。あまりに、
自分達と違うからだったように思います。

--------------木幡の返信

おはようございます。木幡です。
最近は、夜九時就寝、朝5時起床という、とんでも
ない生活(?)です。

興味深いお話、ありがとうございます。硫黄島二部
作では、『父親たちの星条旗』の方がタッチが乾い
ていて、ぼくは好きです。

映画を見る前に原作『硫黄島の星条旗 』(FLAGS
OF OUR FARTHERS 2002 文春文庫)を読んでい
たのですが、映画は原作をほぼ忠実に追っていま
す。

授業では、アメリカの正義と日本の正義をそれぞれ
考え、正義は相対的なものだと言うことを考えました。
つまり、「正義は勝つ。しかし、正義は負ける」

二つの映画を見て、それぞれの正義を貫くために何
をしたのかを見てみるととても面白いと思います。
象徴的に出てくるかたや玉砕、かたや国債…。韻も
ぴったり踏んでいますね。

この授業を考えたのは、「靖国神社にお散歩に行こ
う」という子どもがいたからです。何が正しいのか
を考えるきっかけにしたいと思いました。

もうひとつ、ジプシーブラスですが、ファンファー
レ・チョカリーアの映画のパンフレットの中に、
「畑作労働のため、手が節くれだち繊細な手の動き
を必要とする弦楽器の演奏が困難となった」と書い
てあり、それを引用しました。オスマントルコの軍
楽の影響もあるようです。

ハンガリーでジプシーの生演奏を聴いたことがあり
ますが、そこではもちろん弦楽器を使っています。
国境に近いところに生ける城壁として定住を強いら
れたかどうかも影響するようです。ルーマニアのモ
ルドヴァ地方だけにしかジプシーブラスは、ないよ
うで、もう少し詳しく調べてみます。

実際に渋谷で彼らのライブを聴きましたが、実に軽
快で一緒に踊りだしてしまいました。反面、もの悲
しい旋律のものもありあり、これは歌唱がつきます。
CDが4枚出ていますので、是非聴いてください。
彼らの演奏する『007のテーマ』など想像を絶す
るスピードです。